「人間文化プログラム」は、平成25年度より「人間探究領域」のなかへ「人間文化授業科目群」として発展的に編入されました。

人間文化プログラム概要

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☆プログラムの目的☆

▼ 哲学・宗教・倫理などの思想文化、美術・音楽・演劇・映画などの芸術文化、そして具体的現実世界に軸足を置き新しい時代の知や文化の形を模索する臨床文化。この三つの文化領域を、有機的・総合的に学ぶことで、人間文化の包括的理解を目指します。

▼ 知性と感性の調和による人間性を回復しつつ、奥深い人文知識を育みながら、思索力や人格や生命力や語学力を鍛え、新しい未来をデザインする知的創造人を養成します。


☆授業群☆

以下の三つの授業群を、有機的に連関させながら開講しています。
受講者は各人の関心に基づいて、いずれの授業群の授業科目をも自由にまんべんなく受講することができます。

《思想文化群》
現代思想、言語哲学、比較哲学、東洋思想 
生命倫理学、比較倫理学、環境倫理学  
ヨーロッパ哲学思想研究、キリスト教思想
聖書学、宗教社会人類学、ギリシア哲学 

《芸術文化群》
美学・芸術学、西洋美術史、音楽美学、
比較美学、文化記号論、芸術社会論、
上演芸術論、演劇芸能論、映画論
博物館概論/博物館実習、東洋美術

《臨床文化群》
比較文化論、ジェンダー学、表象文化論、現代人間論
文化創造論、近代文化研究、批評理論、現代文化論、
ヨーロッパ文化論、異文化コミュニケーション論、
ジプシー文化論、文化交流論、社会生態人類学など















☆特別研究(卒論)☆
二回・三回生のうちは自らの関心のおもむくまま、三つの授業群を横断的に果敢に自由に学んで下さい。それは肥料のようなもの。窒素とリン酸とカリ。三つの滋養の栄養素(三授業群)から、どんな植物が生い育つか。先のことは気にせず、しっかり肥やしを殖やしてください。
そして四回生。特別研究(卒論)の季節となります。どんな花が開き、みごとな果実となるのか。不安でもあり、愉しみでもあるところです。卒論の花を咲かせ、豊饒な果実を実らせること。それこそ大学生活の最終的な目的。そのためにこそ、学び、遊び、恋し、悩み、議論し、笑った四年間だったはずです。



卒論はテーマの選び方がすべてといっていいかもしれません。そのテーマを解決をしなければ「生きにくい」、そう痛切に思うテーマをこそ選んでください。あるいは心底から「惚れぬいた」テーマを選ぶことが肝要です。
それはまるで恋愛。愛しい人のことなら、いつどこにいても気になる。その人のことならすべてを知りたいし、寝食を忘れ、先のことも考えずがむしゃらに専念できるものです。そんな恋人同様のテーマが、どんな人にもあるはずです。
そんなテーマを選び、卒論制作へつなげていけば、方法論だとか体裁だとか結果だとかは、おのずからついてきます。

そのうえで、三つのSを心掛けてください。
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   卒論心得《3Sの法則》
structure(構成・論理展開)
   論文は〈他者〉に読んでもらうもの。
   卒論だってそう。
   テメーかってな理屈を展開するのではなく
   読む相手の立場に立って書かねばなりません。
   そのためにはクールに第三者の眼差しで、
   論を構成し、論述の運びを工夫するものです。
   その結果が、論文構成となり論理的展開となる
   はずです。むつかしいと感じるなら、
   恋文を書く心づもりにて。愛しい方が読んで
   分かるよう、筋立ても文章も中身も配慮するはず。
subject(主体・実存・解釈)
   みずからの実存にふりかかるテーマを
   主体的に自己存在をかけて考え、解釈する態度。
   テーマ選びと深く関係します。
   自分にとって痛切な問題を掲げれば、いやでも
   論全体が、自己にふりかかるような真摯さと
   深さと濃密さを要請してくるはずです。
   このsubjectな色合いが薄い論文はつまらないです。
   世界の名著や日本の古典がそうであるように、
   凄い論文や書籍はみなこの側面が強烈です。
scholarship(学識・博学・探索)
   実存度も高く、論理構成がすぐれていても、
   それだけではなにも書けません。関連する
   さまざまな議論や資料を渉猟してください。
   大切な問題なら、すべて先人たちもまた
   真剣に考えぬいて、斬新で深い思索を捧げて
   いますから。恋文もそうでしょう。「好きだ」
   「好きだ」と叫んでもなにも書いたことになら
   ない。「あ、なるほど、そんなに私を想って
   いるんですね」と、そう愛しい相手が得心でき
   るような記述をするはずです。説得できる
   だけの資料や膨大な書籍やフィールドワークの
   結果を収集してくるはずです。学識や探索もまた、
   がむしゃらにガリ勉で積み上がるものではなく、
   テーマ(恋人)へ魅かれる情愛と、
   そしてなりよりテーマへの誠実な態度から
   結果的に自然についてくるという
   理屈でもあります。    
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研究テーマ 
最近の関連する卒論・修論タイトルや教員たちのテーマなどをアトランダムに記します。

《思想文化系》
自然と文明、生命と倫理、存在論と神秘学、公共的対話の方法、合気道と交渉学、神秘思想の系譜、歓待の倫理学、臨床哲学、ベルクソン哲学研究、抵抗論、スピノザの哲学、日本神話の他界論、ギリシアの哲学、映像と知覚、生命倫理学、スーフィーと現代、ハイデガー哲学、脳死と臨死体験、ディープエコロジーの哲学、言葉と沈黙、虚空の秘密、国家と謝罪、家族論、荘子の自然観、バタイユの脱自論、科学技術と悪

《芸術文化系》
演劇と映画、情報時代における芸術文化の変容、崇高の美学、古代中国美学、仏教芸術、漫画芸術論、ゴッホ神話、絵本の表現性、芸道思想の現代的意義、土方巽の演劇、
美と愛、アンディ・ウォーホールの自己確立、不条理演劇、江戸の美学思想、芸術と他者、癒し系音楽論、美術館の社会学、信仰と造形とイコン、タルコフスキーの映画美学、能と歌舞伎の美学、建築デザインの造形、器の詩学、映画のリアル、演劇芸能論、エイズと演劇、謡曲にみる古典享受の位相、身体舞踏論、コルネイユの作劇法、YOSAKOI祭の研究、象徴芸術人類学

《臨床文化系
ジェンダー学入門、原爆文学論、アウシュビッツ文学と現代文学、アフリカ文学と革命、批評理論の現在、ギリシア神話の中の女性像、現象学的コミュニケーション論、正月料理の日中比較、都市文化の再生、変身の構造、ナチスと闘った劇作家たち、中原中也とランボー、セクシュアリティのグローカルナな構築、亡命作家論、サブカルチャー文化論、児童虐待の深淵、発展神話と現代の貧困











☆卒業後の進路☆

関連する先輩たちは、マスコミ(朝日新聞、中國新聞、NHK、RCC等)、出版編集者(講談社、岩波書店等)、学芸員(ひろしま美術館、広島県立美術館等)、大学教師(明治大学、和歌山大学、中京大学、西南大学等)、公務員、高校教員(社会・英語)、文化交流国際機関職員(国連)などとなって、内外の各分野で活躍しています。

なお、本プログラムに直結する大学院(広島大学大学院 総合科学研究科 人間存在研究領域など)については、下記サイトをご覧ください。
【人間存在研究領域】
http://ningensonzai.blogspot.com/

☆人間文化の仲間たち☆
 
シャイで心優しい学生たちが集っています。先輩たちや関連する大学院の学生たちあるいは教職員たちといっしょに、愉しい「人間文化研究会」(通称、人間文化村)を組織運営し、勉学だけでない人生の輝きを生きています。
みなの活動拠点は、A棟五階の人間文化学生室です。たくさんのパソコンや印刷機器や調理機器も完備。研究ばかりでなく、休憩室や談話室としてもおおいに活用してください。

なお、学生たちの元気な横顔については、下記サイトをご覧ください。